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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)1609号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人塩谷栄一の上告趣意は、末尾に添えた書面記載の通りである。

上告趣意第二点について。

原判決が判示第一(二)において認定した事実によると、被告人美濃政敏は、矢館章が利益を得る目的で賣るものであることを知りながら同人と共謀して、法定の除外事由がないのに、原判示の煙草を販賣價格の統制額を超えた原判示の金額で朝鮮人某に賣却したのであり、その賣却した煙草が賍物であることをも知っていたのであるから、右賣却行為は一面において原判示のように物價統制令の違反であると共に、他面賍物牙保罪であること言うまでもない。されば、原判決には所論のような論理の矛盾はない。また原判決は、被告人美濃を矢館章の共同正犯として認定したのであるから、刑法の適條において所論のような違法はなく論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって、本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴第四四六條に從い、主文の通り判決する。

以上は、当小法廷裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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